
特集Special Topics08: 『デッドストック (Dead Stock)』
[デッドストック(Dead stock):売れ残り品、長期間倉庫に置かれていた商品を指す]
当店ディスク・デシネでは、2002年の開店以来、世界中の国々から数多くの貴重な"デッドストック"のレコードを発掘し販売して来ました。十数年も前の貴重なレコードが未使用の状態で手に入る。中古盤ですら中々見つける事ができないレア盤が、素晴らしい状態で手に入る。中古レコードが大好きな方達にとっては、まさしく夢のような状態ですね...。
そんな訳で、きっとこのコラムをお読みの方にとってこの"デッドストック"と言う言葉は、既に耳慣れたキーワードの一つとなっている事でしょう。
ただこの言葉、上記の定義の通り、かなり広義なモノです。そして、星の数ほどリリースされて来たレコードのタイトル数に比例して、と言うよりは、その内容や当時のそれらの作品に対する評価の結果の一つとして"デッドストック"なる状態が生まれる訳ですから、当然に、当時全く人気の出なかったモノ、売れなかったモノなど、その中身も色々です。
長らく海外に出向いて、色んな場所で沢山のレコードを掘って来た経験から言えば、過去に遭遇して来た"デッドストック"の95%は、残念ながらどうしようもない"ダメ"レコード達でした。『もしこの盤の中に1曲でも良い曲があればなぁ』なんて僅かな希望も容赦なく断ち切られてしまう位に"ダメ"なモノばかりなのです、残念ながら(笑)。
そんな中、大量のレコードが残る田舎の倉庫やホールセール、古道具屋、あるいは既に活動を休止しているインディレーベルにアタックし、さらに激選に激選を重ねた結果、お客さまの手に届いているのが、今までディスク・デシネで仕入れて来た"デッドストック"の逸品達なのです。
気になるところかも知れませんが、ディスク・デシネで"デッドストック"と、定義(と言うほど立派では無いですが...)付けているアイテム達は、通常こんな感じです。
1.オリジナル盤、あるいは少なくとも最近のプレスでは無い事
2.未使用品である事(ただし、経年過の傷みは許容する(当たり前の事ですが))
3.まとまった在庫として入荷する事
等です。
実は、少数で見つかるアイテムというのがかなり多くて、その場合当店では、"デッドストック"としては扱わない場合も多いです。例えば、『シールド状態で入荷しました』とか、『恐らく未使用の美品が入荷しました』と言うような表現にしています。例えば、ある商品が"デッドストック"化する場合、意外にも色んな状況(ただの売れ残り、レーベルのストック、あるいは卸会社に残された返品の山、とか色々です)が想定されるので、ハッキリとした出所や状況が分からない場合には、大袈裟な表現/誇張は避けるように心がけています。
以前と違い、1960年代~80年代の良質の作品の"デッドストック"が見つかる機会は殆どありません。そもそも、誰でも知っている人気レコード、レア盤、高額盤の類いは既に掘り尽くされ、今では、よほどの(生きた)情報量、行動力(と、情熱とか?)が]無ければ、滅多な事ではイイ作品には出会えません。
残念ながらこれは、"デッドストック"と言う特定のキーワードと言うよりむしろ、古いアナログ盤と言う、現在では既に殆ど生産されていないメディア、全てに当てはまる事です。そんな訳で、この"夢"のような、状態が稀に実現した時には、どうぞその機会を逃さないよう、アンテナを張っておく事をオススメします。
もちろん、ディスク・デシネでは、この"夢"のような状態を皆様にお届けすべく、微力ながらも今まで培って来た経験やコネクションを活かし、さらなる"発掘"努力していきます!
※このコラムは、内容からも推測可能な通り"アナログ盤"に特化して書いています。
もちろん、CDや他のグッズにだって"デッドストック"という概念は該当します。
(丸山 雅生 / 2010.03.22)
